『高知がえり』寺田寅彦
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青空文庫からダウンロードしたテキストによれば、底本は岩波書店刊行の全集第一巻だそうですよ。
寺田寅彦は、明治 〜 昭和初期にかかる時代を生きた、物理学者・随筆家などとして知られる文化人です。「天災は忘れたころにやってくる」という一言を残したとか残さないとか。父親が高知県の士族であった縁から、子ども時代を高知で過ごしています。熊本の第五高等学校に通った時代に、英語教師であった夏目漱石と出会い、その思い出も随筆に書き残したりしています。
この作品はテキストファイルでもそんなに長くなく、A4 用紙に 12pt でビッチリ詰めれば 2 枚できれいに収まるくらいの軽い読み物です。しかしその短さの中に、高知県人ならぐっとくる地名がちりばめられておるのですよ!
久礼くれ、須崎、浦戸、種崎、得月楼とくげつろう、孕はらみ、追手筋おうてすじとまあ、はりまや橋周辺を学生時代の行動範囲にしていた人にならなじみの深いものたちばかりではありますまいか。
亭主が幼いころはすでに、市中の料亭という趣ばかりが強くなっていた得月楼ですが、寺田寅彦の時代は舟がつけていたんですねえ。そのころの地形を古地図で確かめたくなってきました。浦戸湾に面していたんでしょうよね。夏なんかは風流でしたでしょうねえ。
物理学者ということで、これまでその著書はそれとなく敬遠してまいったのです。それでもこういうわりと軽く読めるものも書いているということで、高知県立文学館には館内に寺田寅彦記念室があるということですし、小津の方には寺田寅彦記念館という文化施設があるようなので、これまた帰省のおりに訪ねてみたい場所が増えましたな。
『高知がえり』は収録されておりませんけれど、ちくま日本文学全集には巻 35 に寺田寅彦があり、やわらかい表紙にコンパクトな大きさで手になじみやすく、おすすめです。シリーズ通して、表紙で安野光雅の挿絵が楽しめるのもうれしいですね。ふふふ。
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- 記事投稿日:08.6.25 / 12am
- 最終更新日:08.8.28 / 10pm
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